ニッカ余市蒸留所について
ニッカ余市蒸留所とは
ニッカ余市蒸留所は1934年にニッカウヰスキー(当時の大日本果汁株式会社)が北海道余市郡余市町に設立したウイスキー蒸留所です。ニッカウヰスキーの創業地でもあります。4万坪あり、その大部分を占めるのが26棟ある貯蔵庫です。

ニッカウヰスキーとは
日本のウイスキーの生みの親、竹鶴政孝氏がサントリー退社後に独立して設立した会社です。
竹鶴政孝(マッサン)とは
日本で初めて、スコットランドへウイスキー留学に行き、帰国後に日本初のウイスキー蒸留所を大阪と京都の県境にある山崎に設立しました。
その後、サントリーから独立し、スコットランドと似た風土の北海道に余市蒸留所を設立しました。
NHK連続テレビ小説「マッサン」の主人公である亀山政春のモデルとなった人物です。
竹鶴政孝、ニッカウヰスキーの歴史
- 1894年、竹鶴政孝が現在の広島県竹原市に造り酒屋の三男として生まれる。
- 1918年、竹鶴政孝が当時の摂津酒造(現、宝酒造)の援助で単身スコットランドへ留学。
- 1920年、竹鶴政孝とスコットランド人のリタが現地で結婚。同年日本へ帰国。
- 1922年、摂津酒造がウイスキー製造を断念。竹鶴政孝が退職。
- 1923年、竹鶴政孝が現在のサントリーに入社。
- 1924年、サントリーが大阪と京都の県境付近に山崎蒸留所を竣工。
- 1934年、竹鶴政孝がサントリーを退職。
- 1934年、現在のニッカウヰスキーである大日本果汁株式会社を設立。北海道に余市蒸留所を竣工。
- 1940年、余市製造の最初のウイスキー「ニッカウヰスキー」を発売。
- 1952年、会社名を「大日本果汁」から「ニッカウヰスキー」に変更。
- 1954年、ニッカウヰスキーが朝日麦酒傘下になる。
- 1959年、朝日麦酒によって西宮工場が竣工。
- 1961年、竹鶴政孝の妻リタが亡くなる。
- 1962年、西宮工場にカフェ式連続式蒸留器が設置され、グレーンウイスキーが作られるようになった。
- 1964年、モルトとグレーンのブレンデッドウイスキーであるハイニッカを発売。
- 1965年、ブレンデッドウイスキーである新ブラックニッカを発売。ニッカの象徴であるヒゲの紳士の絵が初めて採用された。
- 1969年、宮城県に宮城峡蒸留所を竣工。
- 1979年、竹鶴政孝が亡くなる。
- 2001年、アサヒビール株式会社がニッカの全株式を取得し、完全子会社化した。
- 2014年、NHK連続テレビ小説マッサンが放映される。
- 2015年、ISCでディスティラーオブザイヤー(年間最優秀メーカー)に選ばれる。
ニッカの名前の由来
ウイスキーは蒸留後、樽詰めして数年間の熟成後に出荷となる為、製造開始後しばらくはウイスキーの収入はありません。
余市蒸留所がある北海道余市郡は果物の産地でもある為、創業を始めてしばらくはリンゴジュースの製造も行うことにしました。その為、最初の社名は「大日本果汁株式会社」と名付けられました。当時の会社名は大日本~というのが流行っていたそうです。
6年後、ようやく最初のウイスキーを発売することができ、そのウイスキーの商品名を、
「ニッ」ポン「カ」ジュウ
からとり、「ニッカウヰスキー」と名付けられたのがはじまりです。
ニッカ余市蒸留所見学の流れ
新型コロナウイルス対策によるご注意
現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の為、見学方法に変更が発生する場合があります。公式サイトなどでもご確認ください。
見学再開後から確認された変更点
- 予約は3日前から受け付け。
- 売店の一部の限定商品(ピーティー&ソルティなど)が1人3本→1人2本に変更。
- ガイドツアーに参加しなくても、受付をすることで無料試飲、売店利用が可能。
予約は必要?
新型コロナウイルス発生以前は予約が無くても自由見学ができましたが、現在はツアーガイドによる完全予約制です。
予約はインターネットまたは電話で可能です。
ただし、売店、レストラン利用のみで見学を行わない場合は、予約は不要です。
余市蒸留所へ
まず、入り口で受付を行います。
受け付け時にアルコールの試飲を行うか聞かれます。アルコールの試飲を行う場合は、同意書に名前と年齢を記入します。
受付後、隣の建物の待合室へ行きます。
待合室には、無料のコインロッカー、お手洗いがあります。ウイスキー造りの展示もされていますので、見ながらツアーが始まる時間まで待ちましょう。

見学(ガイド案内)の順番
見学待合所⇒乾燥棟⇒蒸留棟⇒旧事務所⇒リタハウス⇒旧竹鶴邸⇒貯蔵庫⇒ニッカ会館(試飲会場)の順でした。所要時間は30分です。
時期によって異なる場合もあります。
余市蒸留所製造工程で見学できる施設
乾燥棟(キルン塔)
発芽させた大麦麦芽を燃やしたピート(泥炭)によって乾燥させる場所です。現在の余市蒸留所では使われることは少なく、通常はスコットランドから輸入した乾燥麦芽を使用しています。
建物上部の独特な形の煙突はウイスキー蒸留所の外観の象徴にもなっています。

蒸溜棟
モルトウイスキー製造の心臓部ともいえる、ポットスチルが7基あります。
しめ縄が飾られているのが日本らしくて良いです(*’▽’)

ここのポットスチルの特長が「石炭直火焚蒸溜」です。現在は世界中でここにしか残っていません。石炭の高い熱によって香り豊かで力強い味わいが作られるとのことです。また、石炭の火加減は難しい為、余市蒸留所での蒸留は春と秋しか行えないそうです。

写真中央の一番小さなポットスチルは、現在使われておりませんが、創業時の1936年に設置されたものです。創業当時は一基しかなく、2回の蒸留を同じポットスチルで行っていました。

一号貯蔵庫
余市蒸留所創立時に建てられた貯蔵庫です。

外壁は石造り、床は土のままです。たくさんの樽が並べられていて、貯蔵庫らしい雰囲気があります。

余市蒸留所の試飲、レストラン、売店施設
無料試飲(ニッカ会館2階)
無料試飲できる方法は2つ
1つ目は事前予約によるガイドツアーの参加です。
30分間蒸留所の見学を行ったあと、最後に無料試飲会場に案内されます。
2つ目は直接ニッカ会館の1階へ行き、無料試飲の手続きをする方法です。ただし新型コロナウイルス対策により休止になる可能性もあるかもしれませんので、遠方から行く場合は、1つ目のガイドツアーの申し込みを事前にしておいた方が良いです。
無料試飲できるのは余市、アップルワイン、アップルジュース(ノンアルコール)
2020年現在、無料試飲できるのはいずれか1杯のみです。

レストラン「樽」(ニッカ会館内)
無料試飲会場と売店の間にレストランがあります。

レストランでもレアなウイスキーを試飲することができます。
また、事前にレストランのコースをネットで予約することもできます。ガイド付き蒸留所見学の申し込みフォームから申し込むことができます。

売店(ディスティラリーショップノースランド)
ウイスキーやグッズを販売しています。
ニッカ蒸留所でしか買えないウイスキーもあります。
- 鶴
- 余市蒸留所限定ウイスキー
- ピュアモルト プロダクトオブニッカ ブラック
- ピュアモルト プロダクトオブニッカ レッド
- 余市 ピーティ&ソルティ
- 余市 ウッディ&バニリック
- 余市 シェリー&スイート
また、ここで購入したものを発送してもらうこともできます。送料は2000円弱でしたが、場所によって異なります。

余市蒸留所の竹鶴政孝(マッサン)関連施設
ウイスキー博物館(有料試飲コーナーあり)
ウイスキー貯蔵庫を改装して作られた博物館です。

NHK連続テレビ小説マッサンで使われた小物や、ニッカウヰスキーの第一号商品など様々な展示があります。


一番奥には有料の試飲コーナーがあり、終売品や非売品の貴重なウイスキーを試飲することができます。現在は一人2杯までで、現金のみのお支払いです。
おすすめはシングルカスク余市10年(15cc、1000円)です。こちらだけ非売品です。10年ですが、新樽の風味がとても良いです。シングルカスクとは思えないほど複雑な味わいです。


旧事務所
大日本果汁株式会社設立当時の事務所です。
1934年7月に建てられました。余市町指定文化財 有形文化財建造物に指定されています。
内装も当時の様子が再現されています。

竹鶴政孝リタ夫妻の結婚をとりもった摂津酒造の阿部社長から送られた絵画や、当時の金庫も展示されています。

旧竹鶴邸
竹鶴政孝、リタ夫妻が住んでいいた家を移築したものです。洋風な建造物に障子があるなど、和洋折衷な造りになっています。
中に入ることもできます。竹鶴夫妻のエピソードやお互いのプレゼント品などが展示されています。

リタハウス
この建物はリタさんが住んでいたわけではありません。
1934年から1984年までニッカウヰスキーの研究室として使われていました。ここでニッカの様々な製品が生まれています。
その後、ティールームとして使われていましたが、建物の老朽化の為、現在では立ち入り禁止になっています。

竹鶴政孝銅像

余市蒸留所データ
名称 | 余市蒸溜所 ニッカウヰスキー株式会社 |
所在地 | 〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町7-6 |
電話 | 0135-23-3131 (9:00-16:00) |
休館日 | 12月25日~1月7日 |
営業時間 | 9:00~15:50(試飲受付15:40迄、レストランオーダー15:00迄) |
入場料 | 無料 |
予約方法 | ネットで予約可能ですが、予約しなくても見学可能です。 |
試飲 | 無料試飲と有料試飲あり |
売店 | 有り(ディスティラリーショップノースランド) |
見学所要時間 | 蒸溜所(ツアーガイド):約30分 無料試飲:約15分 |
トイレ | あり(きれい!) |
駐車場 | あり(無料) |
URL | https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/ |
余市蒸留所へのアクセス
余市蒸留所に行くのは簡単?
北海道の札幌や小樽から簡単に行くことができます。
駐車場があるので車でも行けます。
最寄駅の余市駅からも近く、バス停も目の前にあるので公共交通機関でも行きやすいです。
アクセス方法一覧
車、電車、バスで行くことができます。
札幌または小樽から公共交通機関でのアクセス
- 札幌⇒余市 JR直通
- 札幌⇒余市 高速バス直通
- 札幌⇒小樽 JR
- 小樽⇒余市 JR
- 小樽⇒余市 バス
札幌から余市へ電車(JR)でのアクセス
札幌からJR直通列車で行く
JR函館本線快速(ニセコライナー)が本数は少ないですが運行されています。
札幌から余市までの所要時間は約75分です。
小樽経由で行く
新千歳空港~札幌~小樽の路線がありますので、まず小樽へ向かいます。小樽で乗り換えがあります。
小樽駅からJR函館本線(小樽始発)に乗って約25分で余市に着きます。
小樽発の列車の本数は1時間半に1本しかありません。小樽から余市蒸留所方面に行く路線バスもありますので、乗り継ぎが悪い場合は、路線バスも検討しましょう。
100円節約する方法
札幌から余市へのJRの運賃は1,290円です。
札幌から小樽までは750円、小樽から余市までは440円ですので、別々に切符を買うと合計1,190円なので100円安くなります。
小樽から余市までの路線バスの運賃もJRと同じ440円ですので路線バスを使っても100円安くなります。
札幌から余市へ高速バスでのアクセス
札幌駅前ターミナルから余市駅前十字街までの高速バス「高速よいち号」が運行されています。
所要時間は1時間45分。運賃は1,110円です。
https://www.chuo-bus.co.jp/highway/index.cgi?ope=det&n=26&o=1&t=39
小樽から余市へバスでのアクセス
小樽駅改札を出て右前方にあるバスターミナルに、余市へ行く路線バスのバス停があります。始発なので乗りやすいと思います。
余市へ行くバスは複数あります。
「余市駅前十字街」または「余市駅前」で下車します。所要時間は30分。運賃は440円です。
路線バスを使う場合は、SUICAなどの交通系電子マネーが使えます。乗る時と降りるときにタッチします。
余市へ行くバス
- 余市梅川車庫前行(18系統)
- 美国行(20系統)
- 積丹余別行(21系統)
下記の高速バスも余市へ行きます。SUICAは使えないみたいです。
- 高速しゃこたん号
- 高速よいち号
- 高速いわない号
- 高速ニセコ号
- ニセコバス
必ず余市駅付近へ行くか確認してからご乗車ください(‘◇’)ゞ
https://www.chuo-bus.co.jp/city_route/course/yoichi/
車でのアクセス
札幌や小樽から国道5号線を西へ向かいます。高速を使う場合は余市ICで降ります。
駐車場は敷地内の売店隣に無料駐車場があり、蒸留所正門の前に町営駐車場があります。
余市蒸留所付近のスポット
余市駅前の熊の石像とNHK連続テレビ小説マッサンの撮影スポット
熊がニッカ第1号ウイスキーを抱えています。なかなかゆるくて良いです(*´ω`)

余市で海鮮を食べるなら柿崎商店
余市で海鮮を食べるならここがおすすめです。時間によっては品切れや行列ができます。
おすすめは、雲丹の時期なら積丹の雲丹です。宗八カレイやホッケもおいしいです。
食事は2階です。1階はスーパーになっており、余市のものもあります。海産物や余市のりんご、蒸留所でも提供しているJAよいちのリンゴジュース「りんごのほっぺ」もあります。私はりんごを何個か買ってホテルで食べました(*’▽’)

リタ幼稚園
見学できるわけではありませんが、竹鶴夫妻が生前お世話になってた余市教会と、竹鶴氏の寄付で建てられたリタ幼稚園があります。
余市蒸留所向かって右側の道路をまっすぐ行くと余市宇宙記念館があり、そのさらに先にあります。

